「今日、駅前の本屋さんの前で……女の人と歩いてましたよね……? 腕、組んで」
今日?
今日は大翔と……あー……そういうことか。
大翔、女装してたもんな……。
「今日……? あー、あれは……」
見てたのか、と頭をかく。
なんて説明すれば良いだろうか。
女装好きなただの友達?
どちらにせよ、あいつが男だってことはちゃんと伝えねえと。
「あいつ、男だから……」
「はい……? 嘘つくならもっとまともな嘘ついて下さい……」
南が男だって信じられないのもわかる。
あいつ、まじで女にしかみえないからな……。
俺は慣れちまってるところがあるけど……。
「嘘じゃねえよ……。学校の友達。今日学校午前で終わったから買い物付き合わさせられてたんだよ。信じられねえなら電話するか?」
スマホを取り出して、大翔に電話をかける。
南に『山下大翔』と表示されている画面を見せつけて、スピーカー設定にする。
しばらく呼び出し音が鳴って、大翔が電話に出た。


