泣きはらした私の顔を見て、雄悟先生は驚いているようだった。
私の顔と、手にあるチョコレートの箱を交互に見る。
「南、どうした? なんかあったのか?」
なんか……? あったよ……。
先生と食べたくて、チョコレートを買った。
だけど、先生が女の人と腕を組んで歩いてるのを見た。
私の心を折るには、十分だよ……。
「雄悟先生……私のこと、どう思ってるんですか?」
「南、そういうのはなしって……」
「おしえてください……!先生……」
必死だった。自分の心を守ることで。
「南……どうしたんだよ……」
雄悟先生が小さく息を吐く。
「好きだよ。そんな簡単に気持ち変わんねえよ」
「ほんとに……?」
「ああ」
じゃあ、なんで……立ったままの先生を見上げる。
「なんで、女の人といたんですか……?」
「女の人?」
きょとんと、雄悟先生は首をかしげる。


