夕方になり城の中は静まりかえっていた。


昼間あんなに騒がしかったのが嘘のようだ。


部屋に戻るとダークグレーのタキシードを着たシエルが、鏡の前で身だしなみを整えていた。


いつもより髪の毛をしっかりかため、後ろにながしている。


アクセサリーは一切付けておらず、アクセントに胸元に真っ赤なハンカチーフを差し込んでいるだけ。


惚れ惚れするほど美しい。



『瑠花、お帰り』

「ただいま。あまりにもシエルが綺麗だから見とれちゃったよ」