「どうやってあの世に行ってもらおうか!?」   

「そうだなあ、折角、『竹光』を持っているわけだから、これで苦しみながら死んでもらうというのはどうだ!?」

「それは名案!じゃあ、俺がやる。しっかり、押さえ付けておけよ、土門!」             

菱山は葵から『竹光』を奪うと、葵の腹部を目がけて『突き』を出す。              
「うわあ〜〜っ!!」              
余りの痛さに神経が麻痺した錯覚に陥る。                 
「あはははっ、こりゃ良いや!!」

もう一度、先程よりも力を入れて菱山は突く。葵はまたも悲鳴を上げる。                 

3度目で葵は気絶してしまった。                     
「なかなか難しいものだ。土門、交替だ!」                              
土門に竹光を渡し、4度目を突いた時、竹光の先が少し朽ちる。                   
「脆いものだなあ、この程度で朽ちるとは…」               
葵はもはや絶命寸前で息も絶え絶えであった。                           
「これが止めだ!!」  

土門がそう言って身構え五度目を突こうとした時、葵の体に異変が起きる。                   
体全体が突如赤い炎に包まれたかと思ったら、足先から徐々に体が消え始めた。              
土門が真っ先にそれに気付く。                      
「ひ、ひ、菱山、見てみろ!!か、か、体が…」

「えっ!?……な、何だ、これは!?どうしたんだ、一体!?…体が消え始めているぞ!!」                               
やがて葵の体は全て消え、菱山の腕の中には何も残っていなかった。                     

何が起こったか分からずに暫らく茫然とする二人。

そして、我に返ると得体の知れぬ恐怖に『うわあああ〜っ!!』と悲鳴を上げてその場を走り去って行く。              
そして、そこにはあの『竹光』だけが残されていた。