裸足のシンデレラ

「里穂にはさーどういう友達がいんの?」


私はゆっくりと彼の方を振り返った。
彼はカメラを構えたままだった。


「そうね…お互い両思いなのに彼女の方が意地っ張りすぎてくっつかないカップルくらいかしら。」

「なにそれ?もっと詳しく。」

「真姫は明るくて素直で元気な女の子よ。ただ、どうしても本当に素直にならなきゃいけないときに素直になれないような不器用さも持ち合わせてる…。女の子っぽくて可愛い子。」

「ふーん…。すげー好きなんだね、その子のこと。」

「まぁ…女の子の友達って真姫だけだから。」

「で、その彼氏になりかけてるやつとも友達なわけ?」

「そうね。瞬とも仲はいいわ。瞬をからかうのも楽しいわね。」

「そいつに恋愛感情はねぇの?その真姫ちゃん…だっけ?その子にとられて嫌だなーとか。
もしくは里穂の唯一の友人二人がくっつくこと、寂しくねぇの?」

「寂しい…?」

「あ、俺、変なこと言ってる?」

「…ううん。そうじゃない。きっとあなたが言っているようなことが正しい反応なんだと思う。
でも…私は早く二人に幸せになってほしい。
もう見てるだけでじれったくてモヤモヤするのよ。」

「なーるほど。…里穂がそういうやつで良かった。」

「え?」

「すげー大切なやつの幸せを、ちゃんと幸せだと思えるやつでさ。」


やはり彼は、カメラを離さなかった。
シャッターは切り続けられる。