裸足のシンデレラ

「写真…撮るのは趣味?」

「最初は趣味だったんだけどさ、最近は本気でやってる。
つっても全然なんだけどな。」

「どんなのを撮ってるの?」

「もっぱら人物。
風景とかはなんか性に合わねぇみてぇ。」

「そうかもしれないわね。」

「え?」

「あなたは人間がとても好きみたいだから。」

「里穂は嫌いなのか?」

「あなたほど人間は好きじゃないかもしれない。」

「そっか…。
ってことは里穂、彼氏とかいねぇの?」

「いたら日曜日にあなたと会わないわよ。」

「た…確かに…。
つーかさ、『あなた』ってよしてくんね?なんかよそよそし過ぎて切ねぇ。」

「他になんて呼べばいいのよ?『先生』とでも呼んでほしいわけ?」

「貴也。貴也でいいよ。俺だって里穂って呼んでるし。」

「貴也…。」


瞬以外の男の人の名前を呼び捨てにするのは、もしかしたら生まれて初めてかもしれない。そう思った。


「この際だからさー何でも聞いてよ。得体の知れねぇやつと1日一緒でも面白くないだろ?」

「別に知りたいことなんて…。」

「マジかよー…切なっ…。じゃー自己紹介するわ。」


そう言って勝手に自己紹介が始まった。