裸足のシンデレラ

「俺、今度コンテストに写真出すんだ。でモデル探してて。
里穂をモデルに写真を撮りたい。」

「…どうして私なの?」

「里穂を見た時にイメージが湧いた。
だから里穂がいい。」


その声に迷いはないように思えた。
いつも聞く声とは違って、妙に響く。


「ヌードはお断りよ。」

「分かってる。俺だって変態じゃない。」

「どうだか。」

「信用ねぇの、俺?」

「なくはないけどありもしないわ。
それにデートって何よ?」

「それは俺の今回の作品のイメージだから。
でも里穂はそんなこと気にしなくていい。
俺と楽しく1日過ごす、くらいの軽い気持ちでいいんだ。」

「楽しい1日になるの?」

「なる。つーかする。」

「自信あるみたいね。」

「返事は?」

「…いいわよ。どうせ暇だし。」

「よっしゃ!!じゃあ今週の日曜日。○○駅の改札に迎えに行くから。」

「…分かったわ。」

「サンキュー!!ぜってぇいい写真撮るから。
じゃあ、日曜日に。」

「…テンション上がり過ぎよ。」

「嬉しいんだもんマジで。ありがとな!!日曜、楽しみ。」


…あまりに嬉しそうな声で言われたものだから、つい頬が緩んだ。
電話でよかった、と本気でそう思う。