裸足のシンデレラ

もうあたしの出番は終わりだ。
王子様にフラれて…王子様はシンデレラと踊って、恋に落ちて。
シンデレラはガラスの靴を落としていく。

そのシーンまで行くと、セットをシンデレラの家に戻さなきゃいけないから一度幕が降りる。


舞台袖に戻ってきたばかりのあたしの腕を、瞬が強く引いた。


「え…な…そっちは舞台…。」

「分かってる。セットを変えてる間の繋ぎだ繋ぎ。」

「へっ?意味分かんな…。」

「いーから行くぞ。」

「ちょっ…。」


腕を引かれたまま舞台の真ん中へと向かう。


「瞬…?何する気?」

「…どっかのお姫様3にも幸せになる権利はあるだろ?」

「え…?」



…瞬の意図が読めない。
っていうかなんで…舞台の上?
セリフとかないし…完全にアドリブ?



「あーあ。シナリオ通りでつまんねぇなーどっかのオヒメサマ3。」