だってね、きっと分かったはずだもん。
舞踏会で一目見たその瞬間に
『あの人が運命の人』だってこと。
王子様もシンデレラも、その手が触れあったその瞬間に恋に落ちた。
相手が運命の人だと、指先から伝わってきたはず。

それなのに…シンデレラは逃げた。
みすぼらしい姿に戻る前に。

どうしてなんだろう?
そんな姿を見られたら、幻滅されると思ったから?
でもそんな人じゃないって知ってるはずだよね。
シンデレラは…王子様を信じきれなかったのかな。
所詮身分違いの恋だからって…諦めてしまったのかな。
ずっとずっと思ってた。すごくすごく不思議だったの。

シンデレラなら、一度握った王子様の手を絶対に離したくなんかなかったはずなのに、どうしてそんな簡単に離せちゃったのかなって。



「真姫ー!!準備して!!」

「あっ…うん!!」


…考えるのは止めないと。
集中しなきゃ。

次に舞台にライトがついた時には、あたし、踊ってないといけないんだし。












そう思って舞台袖に立った時、出番を終えた瞬が目に入った。
パチっと目が合う。