裸足のシンデレラ

「しゅっ…瞬のバカ――――っ!!!」


あたしは外履きを両足分思いっきり投げた。
一つは意図せず藤堂先輩の足元をかすめ、一つは瞬の顔にクリーンヒットした。


「ってぇ…!!って真姫!!なんで!?」

「あんた、あたしのことが好きなんじゃなかったの!?
なのになんでっ…なんで藤堂先輩に抱きつかれてそんな顔してんのよ!!
瞬のバカバカバカっ!!大っ嫌い!!」


…完全な捨て台詞だってことは分かってた。
でも…嫌、だった。
顔を赤くした瞬が。
自分勝手な言い分だって分かってる。
でも…嫌、だったんだもん。


あたしはいたたまれなくなって、中庭を飛び出した。
行先は…決まってない。


「おいっ!!待てよ真姫!!」

「服部くん!!」

「ごめん、先輩。
俺が好きなのはあいつなんだ。
だからあいつに大っ嫌いとか言われたら黙っていられねーの。
つーわけでマジですいません。先輩は美人らしいから、俺よりいいやつが多分現れると思いますよ。んじゃ。」











「…『先輩は美人らしいから』かぁ…。
それって自分では美人だって思ってないってことじゃない。
…傷付くなぁ…それ。すっごくね。
まぁ…もう聞こえない、かな。」