数日して、現実を受け入れるようになった私。
子供を殺してしまったことに罪悪感が無いとは言えない。
日々は変わらずに過ぎていく。
ただ…辛いのは子供を楽しみにしていた土方様を傷つけてしまったことだ。
彼はあれ以来、私に触れてくる事はない。仕事が忙しいのか会うことは無い。

「………はぁ。」

体調を崩した私も床にいる時間が長くなった。
今では何もせずに、ただ庭を眺めながら、
愛猫の背中を撫ているだけだった。

土方さんだけでなく、他の皆も、忙しいらしく
夕食を持ってくる以外には入らして来ない。


「珠姫、飯だ。」

「………あ、斎藤様。」

斎藤様が夕食を持ってきてくれた。

「調子はどうだ?」

斎藤様はテキパキと準備を進めた。

「土方さんも心配している。早くよく治るようにと。これを。」

斎藤様は水と、紙に包まれた白い粉を私に差し出してくれた。

「……これは?」

「土方さんが探し回った薬だ。早く良くなれるようにと。
飯を食べてから飲め。」


「そう…分かったわ。」

斎藤様の持っている薬を手に取ろうとしたとき。

ニ゙ャァー!!

膝で寝ていた筈の猫が威嚇をし、斎藤様の手を引っ掻いた。

「ッ!?」

「!?斎藤様?」

「大丈夫だ。」

斎藤様を威嚇する猫。
可笑しい。この子は斎藤様になついていたのに。
斎藤様は新しい薬を持ってくると、そのまま部屋を出ていった。

私は夕食を食べた後に、薬を飲み、布団に潜り込んだ。
何だか酷く眠くなった…



―――この頃の私は愚かだったのかもしれない―――

彼らの策略に気づかなかったのだから。