愛してください


「お帰りなさいませ、姫さま」

馬車の近くにいた若いメイドが頭を下げた。

「ただいま。
こんな遠くまでわざわざお迎えありがとう」

ニコリと微笑みもせず答える。
と、メイドは頬を赤らめ前の馬車へと去っていった。


セシリアは小さく首を傾げながら、馬車へと乗り込む。


待て待て、、、なぜ頬を赤らめる。
喜ばせることしてないでしょう?


馬車の開け放した扉の窓がコンコンと叩かれ御者が姿を見せた。


「失礼いたします、姫さま。
道中車体が揺れる箇所がございます。
多少時間はかかりますが、迂回したほうがよろしいでしょうか?」

必要以上にかしこまって言う。

「必要ないわ」

御者は「畏まりました」と言って下がった。



セシリアは一人呆れたようにかぶりを振る。
メイドや御者というものはなぜこうなのか。
いちいち聞く必要もないのに。
自分の行きたいように、勝手に進めばいい。
つくづくそう思う。


セシリアの馬車に別のメイドが乗り込み、馬車はカラカラと音をたて動き始めた。