愛してください


カラカラカラと車輪の回る音がして、立派な馬車がやってきた。

「迎えが来たようですね、セシリアさん」

「えぇ。もう、お別れですわ」


青の服を着た大人たちが、セシリアの荷物をどんどん馬車に運びこみだした。

彼女は彼らに一言礼を言うと、校長先生に向き直った。
そして恭しく一礼を。

「今までありがとうございました。
ここでのこと、決して忘れませんわ」

校長先生は愛おしそうに目を細める。

「セシリアさん。
貴女はきっと、素敵な女性になるでしょう。
体にはくれぐれも気をつけなさいね」

「はい。校長先生もお体にお気をつけて」

そしてセシリアは、ミランダに向かい手を握った。

「ミランダ。
もうお別れしなくちゃいけないわ。
また会う日を、楽しみにしてる」

「私もよ、セシル」

ぎゅっと手を握り返し言う。
そしていたずらっ子のように笑った。

「その時にはあたしに、例の彼、紹介してちょうだいね」

「うん。エディでしょ?楽しみにしてて」

セシリアはそう笑うと、近づいてきたメイドに急かされ身を翻した。








「・・・その彼じゃ、ないんだけどな」

ミランダは呆れたように一人笑った。