校門を抜けると、他校の制服を纏った男が少し離れた所から、手を振ってきた。 姉がそれに応えると、嬉しそうに駆け寄って来る。 「近くまで来たから、寄ったんだ」 迷惑だったか、と不安げな顔色で尋ねる男に姉は頬を染め、嬉しそうに抱き着いた。 私はそれを一歩離れた所から見ていた。 姉と親しげに話すこの男の名は、清水 海翔(しみず かいと)。姉の恋人であり、私の中学時代の部活の先輩だった人だ。 同時に、私の……初恋の人でもあった。