「いま・・・何時ですか?」

憔悴しきった顔で田中は尋ねた。

自分には時間が無い、栄子の国債の満期日をすぎてしまえば全てが崩壊する。

一刻も早く栄子を尋ねて額を地面にこすりつけてでも許しを請わなければならないのだ。他のメンバーのように悠長に時を過ごす暇はない。

「それは関係ありません」

葛西の予想通りの言葉に田中は顔を下に向けた。

「お願いですから・・・お願いですから早くして下さい。僕の一生がかかってるんです」

「息子の一生は終わってしまったんだ。それに比べればあなた達は何です?喜びも悲しみも感じる事が出来る。美味しい物を食べ、至福の時を過ごし将来に夢を馳せる事も出来る。息子はもう何も出来ない」