ハッピーエンド

定期預金や国債は性の奴隷である田中を繋ぎとめる為の餌なのだ。

田中は栄子の預金に手をつけた。

解約依頼があった事にして2億を引き出し、商事会社からの返済があったよう見せかけたのだ。

底なし沼にはまった者のように田中はもがき、自分のしている事に対する感覚が麻痺していた。

おかげで債権の調査には間に合い、田中の不良債権は消えた。しかし今後彼らが2億を返済してくれる可能性など無いに等しい。
その話を栄子にしなければならなかった。あれから4年経つ。

栄子の金に手をつけた事は田中もときどき忘れかけていた。いつか話さなければと思いつつ、今日まで打ち明ける事が出来ていない。
その分、栄子には献身的に奉仕してきたつもりだ。

しかしとうとうタイムリミットがやってきた。