「......あーい、佐々木です、」

「あ、もしもし?」

「............ただいま留守に「してねーだろ」

「チッ」

「今、舌打ちしなかったか?」


昨日は次の日が休みだからって調子に乗って空が白けるまでゲームをやってたのがいけなかった。

だってさ、久々にヒットだったんだよ、“華の大乱闘”。

やりだしたら止まんなかったんだー。

もう寝ねきゃなーと思った時に丁度、龍馬が仲間になるかならないかの瀬戸際になっちゃって駆け引きが難しくってさ。

この機会逃したら次の大戦、絶対勝てなくて、


「で、俺との約束はさっぱり忘れて今の今まで寝てたってわけだ」


携帯の向こうからじりじりと感じる殺気に急いで時計を見ると、もうとっくに12時を回って世間様はお昼ご飯も終わらせてしまっている頃だ。


『土曜の昼、空けとけよ』


思い出した瞬間、背筋に冷たい汗が伝った。


「今から行くから、覚悟しとけよテメェ」

「ぎゃー!ごめんなさい!ほんっとにごめんなさい許して!」

「うるっせぇ、黙って大人しく待ってろ。逃げたらキレる」

「もうキレてるじゃん!」


ブチッと一方的に切られた通話。

携帯を持ったまま放心状態の私はそれでも懸命に寝ぼける頭をフル回転させてベッドから飛び起きた。