そんな強調されても……ねぇ?
菜都が熱く語る。
勇ましい顔をしている君は女を捨てていないのか?
というのは置いておいて、熱い女だ。
嫌いじゃないよ、その菜都サンの熱いところ。
でもね。

「……好きなもの頼んで何が悪いのよぅ」

ちょっとふて腐れてみる。
そりゃみんなの手元を見ると可愛らしく女子らしく、ファジーネーブルに、カンパリオレンジにカシスウーロン……え、カルーアミルクとか、食事と一緒に飲むの?
普段からビールと焼酎ばかり飲んでいるから、カクテルとか、甘いお酒ってあんまり好きじゃないんだよな。

「お酒は楽しく飲まなきゃ、ねぇ?」

にっこりと笑ってみせると、菜都はこれみよがしに溜め息を吐き出す。
盛大に溜め息を吐かれるとなんだか私がおかしなことを言ってるみたいだ。

「ていうか、私にそんな愛想を振り撒かなくてもいい。……純那はさ、なんで今日来ようと思ったのよ?」

声のトーンを落として、菜都が喋り出す。
他の女の子たちは、すでに別の話で盛り上がっていた。
切り替えが素早い。

「……なんで、だろうね?迷ってたら、拓が行きなよって言ってくれたからかな」

苦笑して答える。
拓にだって不安はあるハズなのに、あの人は私を優しく包む。
このメンツの中で唯一、拓の存在を知っている菜都には、どうやら私は隠し事ができないらしい。
隠そうとしたって、菜都がいつだってずかずかと入り込んでくるから。
高校時代もそうだった。
長い付き合いって、厄介で愛しい。
女は強く、たくましく、したたかで、……情に厚いのだ。

「率直に聞く。純那、今、幸せ?」

尋ねてくる菜都の顔が真剣で、私のことをその他大勢の友達じゃなくて1人として見てくれているんだなぁ、なんて思ったら、不覚にも涙ぐんでしまった。

「幸せ、だよ」

涙を隠すように、私は一口、焼酎を飲むと、にっこりと微笑んだ。