「ねぇ、っていうかさ。最近、浮いた話はないのー?どう?」

女同士が集まると、突拍子もなく始まるでしょう率上位に食い込むよね、恋バナは。
みんなの目の輝きようたるや。

「うちはねーマンネリ」

既に二杯目のファジーネーブルにほんのり酔いながら少し溜め息混じりに話出す女の子。
酔っているのは自分に、なのかもしれないけれど。

「えー、今どれくらいなの?」

すかさず食いついて盛り上げる他の女の子。
この子の手にはまだ一杯目のカンパリオレンジ。
まだまだ元気だ。

「んー、3年くらい?」

マンネリと言いながらも、どこか楽しそうで、そんな彼女の表情はみんなに、私彼氏がいるんです的なアピールを繰り出していた。

「ながいじゃーん。でもわかる。そろそろ結婚話とか欲しいよねぇ」
「そう、そうなんだよー。今もう26じゃん?20代で結婚するならさぁ」
「今の人か次の人だもんね」
「そうそう。だから、こんな状態だったら別れた方がいいのかなっても思うしー。でもほら、情はあるじゃん?」

お悩み相談は続く。
私はそれを見ながら、ビールをぐいっと飲み干して、追加の注文をする。
ここは無難に……

「黒霧島、ロックで。あと、お水を4つ、いただけますか?」
「かしこまりました~」

注文を済ませて、向き直ると、話題は次のものへと動いていた。

「そういえば、真理奈が今、7ヶ月なんだって!」
「へぇ~!あの子がねぇ!」
「うっそ、マジで?だから今日来てないの?」

みんな好き勝手言ってるよなぁ。
女、とはそう言うものだ。
すぐにやって来たお水を酔っている子達に配り、私も受け取った追加ドリンクを飲む。
ど定番だけど、間違いないね、黒霧島。
美味しい焼酎を片手に私はただの傍観者になっていた。