私の周りには今、女の子が何人かいて、きゃっきゃと盛り上がっている。
その、遠ざかっていた時間を、距離を取り戻すかのように。
私も話に耳を傾けては、頷いたり、相槌をうつ。
変わらないようでいて変わっている、変わっているようで変わらない。

「純那ってさ、今なにやってんの?」

不意に振られた話題に、笑顔を返す。
銀行勤めに、大手建設会社の総合職、それぞれの道に進んだ久々に会う友達から感じるのは、年月を経てもなお変わらない関係・優しさ、好奇心。
その裏側にあるものを詮索しようとするのは、野暮と言うもの。

「あー……、服売ってるよ」
「え、嘘。ショップ店員?いがーい!」
「いらっしゃいませぇ~!とか言っちゃうの?」
「ヤバ、それ、ヤバイ!」

あはははは、とみんなが笑うけれど、特に気にしない。
嘘は言ってない。
あんなねちっこく、いらっしゃいませぇ~、とは言わないけど。
そしてショップ店員ですらないけれど。
アパレル系とか飲食系とかフリーターとかよりも、普通のサラリーマンだとかOLさんの方が偉い、みたいな風潮はどうにかならないかなぁ。
俳優とかデザイナーとか、そういうのになると目の色が変わるくせになぁ。
……なんて、そんなこと考える私が野暮ってことか。
ひとしきりその話題で盛り上がって飽きたらしく、彼女たちは次なる話題を求めてマシンガンのように話す。
止まらないその口の動きは感心しちゃう。

あ、この手羽先おいしい。