何年ぶりだろう……?
自分の年齢を確認して、愕然とする。
そうか、8年ぶりか。
高校を卒業してから、もうそんなになるのか。
さて、一体全体どうしたモノか。
行きたいような……、行きたくないような……。
まとまらない思考で、かれこれ10分、悩んでいた。

「アイツが、いるかもしれない」

呟いただけのはずの言葉は、意外と自分の耳に大きく響いた。
そっと葉書を置くと、そのまま葉書はテーブルの上を滑り、ハラリと床に落ちた。

「……チッ」

思わず舌打ちが飛び出る。
椅子から立ち上がり、葉書を拾い上げてテーブルに置き直す。
座り直して、マグカップに入れていたブラックコーヒーを一口飲む。
半分以上まだ入っているけれど、すでに少し冷めてしまって、美味しさは半減している。
何でこんなに悩まないといけないのか。
バカみたい。
私、今、ちゃんと幸せなのに。
少し長めのストレートの髪をかき上げ、タバコに火をつけた。
ゆっくりとタバコを吸って、大きく吐き出した。
まるで溜め息みたいだ。


「素直になれないのは、今も昔も変わらない、か」
「何が?」

ついさっきまで誰もいなかったはずなのに、不意に頭に重みが加わり、振り向くと、拓が私の頭に手を置いて立っていた。