「そんな顔するな。わしにはお前がおる。・・お前が元気で幸せでいてくれることこそが、わしらの一番の願いなんじゃ。なぁ、桜子・・・」

それに呼応するかの様に、桜の葉がザァァッとなびいた。

「陸。祭りに行こう。」

こんなときに何言ってんだと父を見上げると、守は泣いていた。

「よかった・・お前と、皆・・生きてて。」
「ちょっ、泣くなよ。」

「ホッとしたら急にキタんだよーーー。」
「ちょお父さん、頼むよ、大樹ぃ。」

大樹は笑っていた。
今まで見たことがないほどに、泣きながら。

ふもとの学校から響き渡る音色は、なおも鳴り止まず、青年隊の声にかき消されるまで、ずっとずっと響いていた。