「ちょっ・・、そんなの聞いてないしっ。」
「聞いてないからだ。HRも立派な授業。この町を知るいい機会だから頑張りなさい。」

反論もむなしく終了のベル。
陸は忌々しげに机を蹴ってそっぽを向いた。

「藤崎先生。どうですか、例の転校生は。」
隣の担任、青葉 快が背中を叩いた。

陸たちの担任、藤崎律は肩を竦めた。
「まだ上手く馴染めません。夏祭りで役を与えたんです。それが良いきっかけになるといいんですが。」

「父親がリストラ、その直後に母親が家出して離婚。複雑ですよねぇ。」
二人は、チラリと教室のある方を伺い、職員室へと向かった。