「誰が、頼んだ。」
大樹の低い声が、二人の胸を貫いた。

「誰が助けてくれって頼んだよ、こんな真似しろって!」
「ちょっ・・陸っ。」

ダンッと地面を踏み鳴らし、陸が掴みかかる。
「お前らだけで何とかしてくってか、格好つけんなっ!俺らの町に関わることなんだぞ。」

顔を歪め、大樹は陸を振り払った。
「笑わせるなっ、そんなこと、お前らに言う資格あるのかよっ!」

陸と七菜が固まる。

「今まで、見て見ぬ振りしてたのは誰だよ。今更、そんなこと言うな。」
大樹は踵を返し、勝手口から出ていった。

暫くの沈黙の後、陸が駆け出す。