陸は七菜の体を支え、道をそれると山を下り始めた。

「ッは!」

草むらを掻き分け、あの桜の場所へと出ると影に身を潜めた。
乱れた呼吸と心音が聞えてしまいそうで、二人は口元を覆った。

上の道でけたたましい罵声。
七菜を庇う手に力がこもる。

------ガサガサガサッ!
草むらが大きく揺れた。

誰か、来る!
ザァァッと風が舞った。

「大樹!」
二人は小さく叫んだ。

「何、お前ら、どうしっ。」

呑気に近寄ってきた大樹を木の裏に引きずり込んだ。

「どうしたんだよ!」
「大変なんだよっ!!」