Nostalgicな祭りのあとで

「後は明日だな。」

草と木の間から、グレーの作業服が見えた。
投げ棄てたゴミがちゃんと下に落ちたか、覗き込んで確認しているのだろう。

陸は七菜を奥へ押し込み、慎重に様子を伺った。

「ホラ、今週分だ。」

第三者の男の声が響いた。

陸は怪訝な顔で、耳に集中した。

「毎度どうも。」
作業服のポケットが膨らんだ。

下卑たしゃがれ声と、くぐもったような聞き取りの悪い声。
後者の声に覚えがあった。

「この聞き取りにくいのって。」
懸命に記憶を探る陸。

「教頭先生よ。」
七菜は強張った唇を動かした。