「思い出って、どんなの?」
七菜が身を乗り出した。
「やまじいと、亡くなった奥さんの、大切な場所なんよ。」
――――五十年前。
山全体が桜色に変わる季節に、二人は出逢った。
学生だったやまじいのもとに現れた、きれいで儚げな少女。
キヌの話を、七菜は食い入るように聞いていた。
普段なら興味を持たないであろう話に、陸も耳を傾けた。
大樹が大事そうに撫でていた桜の古木がふとよぎる。
やまじいの、思い出の桜。
七菜が身を乗り出した。
「やまじいと、亡くなった奥さんの、大切な場所なんよ。」
――――五十年前。
山全体が桜色に変わる季節に、二人は出逢った。
学生だったやまじいのもとに現れた、きれいで儚げな少女。
キヌの話を、七菜は食い入るように聞いていた。
普段なら興味を持たないであろう話に、陸も耳を傾けた。
大樹が大事そうに撫でていた桜の古木がふとよぎる。
やまじいの、思い出の桜。


