照り返しの強い路地を歩いていると、白いワンピースがフワリと翻った。

隣家の老婦だ。

白髪を綺麗にまとめ、痩せた老体に似つかわしくない衣服を纏って歩く。

通りすがりの者が、奇異な目を向け暴言を吐いても、彼女はただあどけなく笑うだけ。

彼女の時間は、少女時代で止まっている。

徘徊癖がひどいらしく、日に一度は、怒鳴り散らしながら嫁が引きずって帰るのを見かける。

嫁の態度にたまらず、息子は自営業しながら母親の世話をしていた。

田舎なのにこういうとこだけ現代じみていて、嫌な気分がした。