「ヴァ…ヴァンパイア…?」



「そう…日本語で言えば吸血鬼だよ。」



「え…!?」



「そのことはちゃんと今から話すから…」



そしてまた先生はヴァンパイアのことを説明してくれた。



先生がヴァンパイア界の次期当主であること…

そして私が先生の許嫁であること…

ヴァンパイアに血を吸われて自分がヴァンパイアになってしまうことはほとんどないこと…

今、私が…命を狙われていること…







「…私が!?」



「そ…ヴァンパイア界はね、二つの世界に分かれているんだ。それがここ、“ルナ界”と“ステラ界”なんだ。」



「“るなかい”と“すてらかい”?」



「イタリア語で“ルナ”は月、“ステラ”は星を意味するよ。」



「それで…なぜ私が狙われているんですか…?」



「ルナ界とステラ界では、ルナ界の方が階級が高いんだ。それに従うのがステラ界。」



「へぇ…」



「そのことで最近ステラ界に不満を持つものが多く出てね…」



「…なぜです…?自分がルナ界に行けばいいじゃないですか…。」



「人数の割合を保つためにルナ界とステラ界は特定の貴族階級以上の人間しか行き来できないようになっているんだ。」



「…じゃあ人間界とはどういう関係なんですか?」



「まぁ…たとえると家が三つ並んでいて、両端にルナ界とステラ界、その間に人間界があるってことだね。」