――カタン…
「おやおや?まさかとは思ったが“お兄様”の隣で寝ているとは…」
お兄様の部屋に窓から忍び込んだ人は私の頬に懐かしそうに手を添えた。
「ん…」
「待っていたよ…僕の花嫁。」
私に口づけをすると男は私を抱え窓から消え去っていった…。
――その後…
「ふぅ…久々によく寝れたな…。」
俺はふと隣にいるはずの真梨子の存在がなかったことに気づいた…。
「真梨子…?」
かわりに真っ青なバラが一輪だけ置き手紙のようなものに添えられていた。
――カサカサッ…
手紙を開いてみると…
┌ 遥へ
久しぶり。
約束通り、真梨子はもらってくよ。
また会える日を楽しみに…
渉より ┘
そう達筆な字で書かれた薔薇の柄の便箋(びんせん)があった。
「遥…本当に久しぶりだな…真梨子をよろしく頼むよ…」

