ブツッと皮膚が引っ張られた感覚があったのは、それから1分後だった。
「あ……。取れた……」
ホッとしたのも束の間。
まだまだ赤い血液は、手の甲に垂れている。
自分で思ってた以上に、生々しい。
なるべく視線を指へ注がず、フラフラと立ち上がった。
「おい、」
「え?あ、はい?」
ピタリと止めた身体に、あまり力が入らない。
先輩、言うなら早く!
「そのまま保健室へ行くのか?」
「ええ、そうですけど」
ハンカチを忘れ、流血を止めているのは自分の左手。
すでに左手もべったりと血が付いている。
「座れ」
ぐいっと手首を引っ張っられ、そのまま元の位置に戻る。
右手を見ないように、目を瞑って、顔を背けていた。
その直後だった。
「っひゃ?!」