そのまま教室へ行き、千波は私が休んでいた分のノートを渡してくれた。



「昨日のとこはテスト範囲だって」

「ありがと、千波。なるべく早く返すね」



ちょっとだけ申し訳なさを感じるも、「いつでもいいよ」と千波に言われ、また甘えてしまう。



こういうのが、壮紀にも出ちゃうんだろうなぁ……。




千波が戻ったのを確認した後で、溜め息を一つ。




壮紀に、何て話しかければ良いのかな。




「この前のキスは何だったの?」




そんなストレートに訊けるような勇気、私には無い。

だけど、一番訊きたい事はそれだ。




これは、剣にも、千波にもちょっと言えない。

友達だからこそ、これは簡単に言えない。




「でもなぁ……」




聞いて欲しくないと言えば、嘘になる。


こういうの、苦手……。