恭先生から見た生徒の中の私は…本当に極一部で、…どんな風に写ってたんだろう。
授業終了のチャイムが鳴り、一気に安堵の息が漏れる。
静かに聞いてくれてた生徒たちもザワザワと話だしそれが何だかホッとする。
南野さん:「吉崎先生!」
「?」
前の席の南野さんに呼ばれて近付く。
南野さん:「塾の宿題があって分かんないのー!」
「どれどれ?」
パッと開いた数学のワークの問題を指して私に見せる。
南野さん:「今日までにこのページやっとかないと怒られるんだぁ。」
フッと、バイト先を思い出す。私も一応、塾の講師のアルバイトをしていて、生徒に宿題出して嫌がられるっけ。
「ああ、ここはXの値が問題文に書いてるから、それをこの式に当て嵌めるとαの値が出せるでしょ?」
南野さん:「あ!本当だ!それで解が出て、その式を使えばいいんだね!」
「あ、そうそう!」
南野さん:「ありがと先生〜!」
「はーい。」
塾の宿題って学校でする子が多いんだよね…。
この子もどこかの塾の生徒なんだなぁ。
でもやっぱり個別でこうして教えるのは好きなんだけどなぁ。


