そう尋ねると、嬉しそうな表情を浮かべる高木先生。
本当に、分かりやすい人だ。
"吉崎 奈緒"(ヨシザキ ナオ)…
ここの卒業生でもあり、忘れられない人でもある。
俺の授業をいつも真面目に聞いてくれる生徒で
俺の所に、化学を聞きに来る唯一の生徒だった。
他の生徒は、化学すら興味を持たずに、聞かれるのは個人情報ばかりだ。
いつでも真剣に…
あの表情が今でも忘れられない。
そんな吉崎が高木先生に恋をしていたことも
二人が両想いであることも
等に気付いていた。
案外忘れられないのは、高木先生の影響があるのかもしれない。
もう3年経つというのに…。
吉崎とは恋人同士だと、高木先生から聞いた。
そうだろうな、とは思っていたが…心臓にぐっさり矢が刺さったような、そんなままなんだずっと。
高木先生:「5、6月くらいから…、教育実習にここに来るそうなんですよね!」
はははっと高木先生は笑って凄く嬉しそうだ。
「へぇ…。じゃあ、俺は吉崎に久しぶりに会えるんですね。」
高木先生:「あ、三浦先生!奈緒に手ぇ出さないで下さいよ?」