13回目の好き




こうして人前に立って沢山の生徒に教えるのってやっぱり苦手で…



「はぁ、緊張する…。」



教室前の廊下でスウッと息を吸う。緊張の一瞬。



恭先生「はは。頑張れ。」



このドアを開ければ、約30人の生徒。



この場面を何度したって緊張しちゃう。




大丈夫、恭先生がいる…。



フウッと息を吐き、隣でニッと笑う恭先生を見てホッとする。



校内にチャイムが鳴り響き、ドアに手をかける。




ガラッ




ザワザワと教室に生徒たちの声。私達に気付いて席につくもの、友達との会話に夢中で気付かない生徒もいる。



恭先生「ほら、席座れよ〜?」


恭先生の大きくて良く通る声が教室中に響き渡る。


懐かしい、ふとそう感じてしまう。



私も恭先生の生徒だった頃は、恭先生のその言葉、何回聞いてたかな。




恭先生:「今日は吉崎先生に授業してもらうからな!しっかり聞けよ。」



にっといつもの笑みを生徒に見せて、私に合図する。




そう、あの頃は生徒で恭先生のその笑みを見てたけど今は私も先生…。



先生から見た生徒ってこんな風に写るんだ。