こうして人前に立って沢山の生徒に教えるのってやっぱり苦手で…
「はぁ、緊張する…。」
教室前の廊下でスウッと息を吸う。緊張の一瞬。
恭先生「はは。頑張れ。」
このドアを開ければ、約30人の生徒。
この場面を何度したって緊張しちゃう。
大丈夫、恭先生がいる…。
フウッと息を吐き、隣でニッと笑う恭先生を見てホッとする。
校内にチャイムが鳴り響き、ドアに手をかける。
ガラッ
ザワザワと教室に生徒たちの声。私達に気付いて席につくもの、友達との会話に夢中で気付かない生徒もいる。
恭先生「ほら、席座れよ〜?」
恭先生の大きくて良く通る声が教室中に響き渡る。
懐かしい、ふとそう感じてしまう。
私も恭先生の生徒だった頃は、恭先生のその言葉、何回聞いてたかな。
恭先生:「今日は吉崎先生に授業してもらうからな!しっかり聞けよ。」
にっといつもの笑みを生徒に見せて、私に合図する。
そう、あの頃は生徒で恭先生のその笑みを見てたけど今は私も先生…。
先生から見た生徒ってこんな風に写るんだ。


