13回目の好き





今まで誰にも話さなかった胸のうちを、…話してもいいのか?



杉野:「あ!聞かれるの嫌でしたら私どっか行きますよ?」



「いや、…別に俺は…。」


杉野:「…じゃあ…聞いてもいいですか?」



そう正直な杉野に思わずフッと笑って、


「ああ。」


と答える。





すると杉野は俺の隣にストンッと三角座りをして、顎を膝に乗せ目をつぶった。




暖かいな。何故だろうか。


サラサラと涼しい風が、杉野の髪を撫でていく。



涙が溢れそうな気持ちになった。




少し触れる肩から、杉野の温もりを感じながら、俺は海を見つめた。



「……俺には昔、兄がいたんだ。」

夕日が水平線のちょうど半分に差し掛かった時、俺は…話し出した。


杉野:「…はい。」


「…とても小さい頃の話で…父はブランド会社の社長を勤め、兄は将来有望な後継ぎとして教育熱心な母に育てられていた。」


俺は、…自由だった。夜中、叱られる兄のそばで、寝ていた。

きっと憎んでいただろう。


"何で俺だけこんなめに…。"そう泣きながら、俺の隣で鼻を啜っていた。



「…ある日、兄は家出をした。」