杉野:「…怖いですか?」





その一言にチラッと杉野を見ると心配そうに俺を見ている。




「…大丈夫ですよ。」



杉野:「私…、三浦先生の悲しそうな目を見ると、何かできることないかなって思っちゃうんです。」


そのまま海から少し離れた砂浜に腰を下ろす杉野に続き、俺も座る。

空はもうオレンジ色に染まり、夕日が沈む…絶景。


ただ、波の音があの日の過去を忘れるなとでも言うように、ザザーン、ザザーンと音を立てる。



杉野:「おせっかいでしたよね…。本当に。嫌な思い出を良い思い出に変えたい、なんて思っちゃって。わがまま言いました。」



「…いえ。」


そう言うと、スクッと立ち上がり、杉野は俺に優しい笑顔を向けた。


オレンジ色に染まる杉野が、大人びて見えた。



杉野:「でも先生、迷惑は承知です!海に…嫌な思い出を流して下さい!」


「…?」



杉野:「ほら、私、テレビとかで良く見るんですけど、嫌なことあったら"海のバカヤロー"って叫びますよね!(笑)」



そう楽しそうに笑いながら話を続ける杉野。



杉野:「きっと、スッキリすると思うんです!」