そう言うと、俺の顔を伺うように杉野はチラッと俺に視線を送る。

俺は、道路を見てるフリをしてその視線から顔を背けた。





それって俺に言っていいことなのか?


そんな、裏話まで詳しく、しかも俺の前で話す杉野の正直さに、恥ずかしくなってしまう自分が変だ。




顔を背けていると、杉野がクスッと笑い出した。


杉野:「…でも!今日、三浦先生とまさか海に行けるなんて!!…明日の海よりも、今日の海の方が何倍も嬉しいです!あ、高木先生や吉崎先生にちょっと失礼だったかな?」



そう笑って話す杉野に俺はただただ黙っていた。



杉野:「…何よりも…三浦先生とだからなんですけどね!」


「…また君は…、平気でそんなことを言う…。」



恥ずかしくなってしまう。




毎回放課後になるとやってくる杉野は…


初めて化学準備室へ来た時から、真っ直ぐにその想いを伝えてくる。



もうすぐ海が見える距離までに差し掛かり、過去の記憶が少しずつ蘇る。



そうだ。…俺は昔から、感情も言いたいことも何も出さずに生きてきた。