高木先生:「それは…諦められてからじゃなきゃわからないが…。」
フウッと息をつき、窓の外へ視線を移す高木先生につられて、私も窓の外を見る。
夏の始まり。
そんな、水色の空がクッキリと映る。
まだこんな明るいんだ。…前まで直ぐに、オレンジになって暗くなってた空が…。
高木先生:「ひとつ、思うことは…、諦めきれない間は、無理に諦めようとすると絶対後悔する。」
「後悔か…。でも私、いつも自分の気持ち伝えてから後悔しちゃう。言わなきゃ良かったって、凄く思うの!…だから、このまま何もしない方が、諦められるし、もう苦しまなくてもいい…。」
カキィー…ン
外から聞こえる野球部のボールを打つ音が耳に響く。
高木先生:「…そうだな…。誰だって同じさ。自分が傷付くのを恐れてしまう。…杉野は真っ直ぐ直球にボールを投げて、何度も打ち返されて、かなり傷付いてんだな。」
「…。」
高木先生:「…俺も、部活しとけば良かったなぁー!」
外を見ながら高木先生はそんな事を言う。
高木先生:「…やらなかった事ってさ、…後から来るんだよ。…まさに後悔。」
「…?」


