いじめられっ子と物の怪憑き少女





「…ありがとう」




ブレザーをあたしの前に突き出し、そっぽを向きながら俯いてぽつりと呟いた。



「…」




ちょっと長めの前髪の間から見えた耳が、ほんのりピンクに染まっている。




その様子を見ると、多分お礼を言い慣れていないのだろう。