恋蛍~クリアブルーの風に吹かれて~

―おれは……そうだったよ―


意味深な、海斗の発言。


海斗が初めて見せた、寂しい目。


その真実を知ってしまう日が、ゆっくりゆっくり、近付いていた。


「おまえらあ、何やっとるかね。こっちに座れー」


必要以上に顔を近付けて見つめ合うあたしと海斗を、ギロリと睨んで、おばあちゃんが居間に戻ってきた。


「子供ぬくせに、色気づいてー」


「何がか! 子供扱いしてさー! おばあよー!」


あたしから素早く離れて、海斗は真っ赤な顔をした。


「陽妃にうつつぬかして、高校に落ちても知らんよー」


「うるさいー! そんなんじゃないさ!」


「どうだかね」


フンと仏頂面で、おばあちゃんは卓袱台の上に、お鍋をどっしりと置いた。


お鍋の蓋が開いた途端に、居間いっぱいに食欲をそそる匂いが一気に広がった。


お鍋の中を覗き込んだ海斗の目が、キラキラ輝く。


「出たね! アバサー」


あばさー?


「陽妃も、おいでー」


海斗に呼ばれて隣に座ると、本当にお腹が空いてきた。


それくらい、いい匂いだった。


おばあちゃんは大きなお椀にそれを豪快によそって、あたしの前にドンと置いた。


「わ……おいしそう!」


熱い湯気に食欲をそそる匂いが溶け込んで、あたしの鼻をくすぐる。


白身魚と、青々とした葱とひと口大のお豆腐が入っている汁物だった。


「おばあちゃん、これ、何ていう料理?」


あたしが聞いても何も答えず、むっとした顔で、おばあちゃんは黙々とお椀によそい続けた。