恋蛍~クリアブルーの風に吹かれて~

当たり前、か。


島の掟を破ってしまったのだから。


自業自得だ。


「手当て、ありがとね。ごめんね。あたし、帰る」


立ち上がったあたしに、海斗は背を向けたまま怒鳴るように言った。


「違うばあっ!」


びっくりした。


海斗のそんな声を聞いたことがなかったから。


「そんなこと、おれは思ってないば!」


まるでケンカを売られているようで、こっちまで感情的に返してしまった。


「嘘! じゃあ何なの?」


「何がか!」


「その態度!」


「態度?」


「目も合わせてくれないじゃない! 別に無理しなくていいから。無理してあたしと居てくれなくていいから!」


まるで吐き捨てるように言って、居間を出ようとした時、後ろから手を掴まれた。


「違うーう! ただ、なっさけなくってさー」


「へっ?」


振り向くと、悔しそうに繊細な顔立ちを歪める海斗が立っていた。


「陽妃がさ、こんなに苦しんで我慢していたっていうのにさ。何もしてやれなくて……なっさけなくってさー」


海斗が、うつむき加減に肩をすくめた。


「……何……それで目合わせてくれなかったの」


こくりと頷く海斗。


相変わらずさらさらでつやつやの黒い髪の毛。


「合わせられないよ。中学生のおれは子供で、あまりにも無力でさあ」


海斗が、あたしを引き寄せた。


「えっ、あの……」