恋蛍~クリアブルーの風に吹かれて~

手が、ビリビリ痺れる。


ジンジン痛む。


それでも、何度も何度も、床を叩き続けた。


もう両手が動かなくなってもいいとさえ思った。


どうせ、あたしは捨てられた人間なんだから。


「そんなことで泣くなあ。ばかもんがー」


無愛想な声が、頭上から降る。


ほんと、ばかもんがー。


「みんなが不幸になっちゃえばいいのに!」


「ばかもん」


そう言って、おばあちゃんはあたしの前に座った。


「人生、そんなもんさー」


おばあちゃんがあたしの手を掴む。


しわしわの、くしゃくしゃの両手で。


「しるー(白い)手えだね」


おばあちゃんが、あたしの手のひらに付いた砂を、撫でるように優しく取り除き始めた。


「ばかもんがあ」


そして、無愛想にあたしを睨む。


「泣くなあ。なにさー、そんことくらいでよー」


まるで、あたしの心に突き刺さった鋭い棘を、一本一本取り除くように。


おばあちゃんは砂を取り除いてくれた。


しわしわの手を見つめながら、あたしは鼻水をすすった。


おばあちゃんが、あたしの心の棘を引っこ抜く。


「辛い恋をしてしまったねえ」


その、小さなしわしわの手で。


でも、やっぱりむっとした顔で。


「その、いーきがあには。そんうち天罰が下るばぁー」


いーきがあ、って何だろう。


おばあちゃんがフンと鼻を鳴らした。


「いーきがあは、おまえぬ男ぬことさ」


大我のこと?


「おまえぬこと泣かせたやつには、かんなじ(必ず)天罰があるさ」


「天……罰?」