恋蛍~クリアブルーの風に吹かれて~

淡い希望を抱いて、ずっと消すことができずにいた大我のメモリー。


―番号も変えたみたいで―


真衣の一言が耳の奥にこびりついて離れない。


でも、確かめずにはいられなかった。


小さな小さな可能性を抱きながら、あたしは大我に電話をかけた。


『おかけになった電話番号は、現在使われて――』


「うそ」


『おりません。番号をお確かめになって』


真衣を疑っていたわけじゃない。


信じていないわけでもなかった。


でも、心の片隅で、あたしは大我を信じていたのかもしれない。


かけたら繋がるかもしれない、って。


でも、やっぱり真衣の言ってた通りだった。


あたしの淡い希望は、こっぱみじんに打ち砕かれ、粉々になった。


もう修復不可能。


大我は、あたしじゃなくて、ひかりを選んだんだ。


あたし、バッサリ切り捨てられたんだ。


それなのに、少しでも信じていたあたしは……。


「ばかみたい。なんか……すごい」


みじめだ。


なんかもう、全部が嫌になってくる。


無意識のうちに、今度はひかりに掛けていた。


『おかけになった電話番号は現在――』


同じ声のガイダンスを最後まで聞く必要は、もうなかった。


ひかりまで……。


親友だと思っていたのに。


ひかりまで、あたしをバッサリ切り捨てたんだ。


まさか、この島に来てから、こんなにも打ちのめされるなんて、これっぽっちも思ってなかった。


得体の知れない猛烈な感情が一気に体を支配していた。


あたしはギリギリ音が出るほど、奥歯を噛んだ。