どの家も石垣でぐるりと囲まれていて、赤い瓦屋根で。
家先にはハイビスカスが咲いていたりする。
道も東京のように舗装されているわけではなく、固い、白い砂地だ。
集落を歩いていると、行き合う人みんなが海斗やあたしに、
「ハイサイ」
「浜へ行くのかね」
「気を付けなっさー」
なんて、まるで家族のように親しげに声を掛けてきた。
東京じゃ、こんなふうに行き合う人みんなが声を掛けて来るなんて有り得ないのに。
「そうさ! こん時間の浜は最高だからねー」
と陽気にかわしてずんずん進む海斗を、あたしは小走りで追い掛けた。
突き当たりを右に曲がった時、腰の曲がったおじいちゃんに出くわした。
「ハイサイ! おじい!」
海斗が声を掛けると、
「ハイサイ」
おじいちゃんはにっこり微笑んで、あたしを見つめた。
「は……はいさい」
「ハイサイ。あーい、でーじちゅらさん連れてるねー、海斗」
海斗がちらっとあたしを見て、すぐにおじいちゃんを見た。
「そっ……そんなことないっさあー」
と海斗はそっけない態度で、また歩き出した。
「あ、海斗。待ってよ」
「なーんじゃあ。照れとるんかぬー」
キョトンと立ち尽くすおじいちゃんに、
「またね、おじいちゃん」
とあたしが頭を下げると、おじいちゃんはうんうんと頷いた。
家先にはハイビスカスが咲いていたりする。
道も東京のように舗装されているわけではなく、固い、白い砂地だ。
集落を歩いていると、行き合う人みんなが海斗やあたしに、
「ハイサイ」
「浜へ行くのかね」
「気を付けなっさー」
なんて、まるで家族のように親しげに声を掛けてきた。
東京じゃ、こんなふうに行き合う人みんなが声を掛けて来るなんて有り得ないのに。
「そうさ! こん時間の浜は最高だからねー」
と陽気にかわしてずんずん進む海斗を、あたしは小走りで追い掛けた。
突き当たりを右に曲がった時、腰の曲がったおじいちゃんに出くわした。
「ハイサイ! おじい!」
海斗が声を掛けると、
「ハイサイ」
おじいちゃんはにっこり微笑んで、あたしを見つめた。
「は……はいさい」
「ハイサイ。あーい、でーじちゅらさん連れてるねー、海斗」
海斗がちらっとあたしを見て、すぐにおじいちゃんを見た。
「そっ……そんなことないっさあー」
と海斗はそっけない態度で、また歩き出した。
「あ、海斗。待ってよ」
「なーんじゃあ。照れとるんかぬー」
キョトンと立ち尽くすおじいちゃんに、
「またね、おじいちゃん」
とあたしが頭を下げると、おじいちゃんはうんうんと頷いた。



