恋蛍~クリアブルーの風に吹かれて~

「大丈夫だよ。ここはとてもいい所だ。ゆっくりでいいさ。きっと、陽妃もここが大好きになるよ」


「そうね」


……そうかな。


本当にこの島を大好きになれる日が、あたしに来るのかな。


「あ、それと、陽妃の高校の事だけど」


「ああ、どうなった?」


「それが……」


たぶん、今しているふたりの会話は、あたしにとって物凄く大事なことなのに。


でも、強い睡魔に勝てそうもない。


ふたりの会話がどんどん遠くなっていく。


あたしは強い微睡みの中に、引きずられるように吸い込まれていった。













来ないで。


「……るひ……はーるーひー」


お願いだから来ないで!


大量のサーターアンダギーが追い掛けて来る。


陽妃、陽妃、とあたしの名前を叫びながら。


「はーるーひー」


来ないで。


だって、あたしもう、これ以上は……。


「無理っ! 食べれないっ!」


ハッとして目を開けると、きれいな黒真珠と目が合った。


「陽妃よー!」


あたしに覆い被さるようにしてそこに居たのは、海斗だった。


「海斗? 何で?」


カバッと飛び起きると、海斗が可笑しそうに笑っていた。


「ぷっ……ハハハハ! 陽妃、何の夢見てたのー? もう食べれんーてさあ」


海斗の笑顔はきれいで、ドキドキした。


「あ……あの……サーターアンダギーが追い掛けて来て」