恋蛍~クリアブルーの風に吹かれて~

「へへ……まあね」


呆れた、とお父さんがゲタゲタ笑いながら、たっぷり食材が入ったビニール袋をガサガサとテーブルに上げた。


そして、薬箱から胃薬を、冷蔵庫からミネラルウォーターを持って来てくれた。


「ほら、薬飲みなさい」


「ありがと」


「それにしても、何だってひとりで食べたんだ」


「別にいいでしょ。もらったのは、あたしなんだから」


キンキンに冷えたミネラルウォーターで苦い粉を流し込み、ふうと息をつく。


「サーターアンダギーは大量の油で揚げてあるんだから、胃もたれするの当たり前よ」


太るわよ、とお母さんが嫌みったらしく笑う。


「別に太ってもいいもん」


もう、大我と別れたんだから、綺麗でいる必要もないし。


ひとつ食べて、もうひとつ。


もう、やけ食いだった。


それに……。


「美味しかったから」


呆れたー、とお父さんとお母さんが目を合わせて、クスクス笑った。


「もういいでしょ。あたし。少し寝る」


そう言って、あたしはふたりに背を向けた。


胃薬はすうっと広がり、次第にあたしの胃は楽になっていった。


それに、本当に眠くなってきた。


後ろで、お父さんとお母さんが仲良くキッチンで話をしている。


「ひとりで食べちゃうなんてな」


「でも、思ったより元気で良かったわ。早くこの島になじんでくれるといいんだけど」



心配そうなお母さんの声をかき消すように、お父さんが明るい声で言った。