恋蛍~クリアブルーの風に吹かれて~

そうすれば、大我と別れずに済んだかもしれないのに。


例え別れていたとしても。


一緒にいられたら、何かのきっかけで大我が思い直してくれたのかもしれないのに。


あたしは箱からふたつ目のサーターアンダギーを取り出し、思いっきりかぶりついた。


サクッ。


「うまっ」


でも、こんなに美味しいお菓子が食べられるなら、この島へ来て少しは良かったかも、なんて思った。


ほんの少しだけど。












お父さんとお母さんが帰って来たのは、夕方になってからだった。


「ただいまー! 陽妃?」


あたしを見つけたお母さんが、ぎょっとした顔で固まってしまった。


「陽妃……何やってるの?」


「あ……お帰り……うっぷ」


すっからかんになった箱。


込み上げる甘ったるいげっぷ。


胃をさすりながらソファーに倒れ込んでいるあたしを見て、お父さんも固まった


「何をそんなに食べたんだ?」


「うっぷ……サーターアンダギーっていうお菓子。海斗がね、うっ……持って来てくれたんだけど」


「まあ。海斗くんて、比嘉さんの?」


お母さんが呆れ顔をして、床から空っぽの箱を拾い上げた。


「もしかして……陽妃ひとりで食べたの?」