恋蛍~クリアブルーの風に吹かれて~

「ありがとう、海斗。これ、すっごいおいしい!」


「そんなら良かったさ」


海斗はくすぐったそうにはにかんで、頭を掻いた。


つやつやの黒髪が、サラサラ揺れていた。


「何よー! 海斗よー!」


「おれたちにもそんなことしてくれんのにさー」


「でーじちゅらさんには優しいのかねー」


海斗の背後に集まっていた野次馬隊が、まるで冷やかすようにわあわあとはやし立てる。


「海斗よう!」


その中でも、坊主頭のいかにもやんちゃそうな男の子が、


「おまえー、ちゅらさんに気があるんだろー」


とわざとらしく口笛でヒューウと鳴らす。


「うるっさいわー」


海斗はまるで火がついたように顔を真っ赤にさせた。


一気に、耳まで。


「ちゅらさんに気があるんかあー?」


「ちっ……違うーう!」


右手を振り上げながら海斗が後ろを振り向くと、


「あがっ! 殴られるー」


「海斗が怒ったー」


「逃げなっさー」


とやんちゃな野次馬隊が一気にわあーっと、右へ左へとはけて行った。


「待ちなっさー!」


海斗が駆け出す。


「あっ、海斗」


友達を追い掛けて行く背中を呼び止めたけど、海斗は気づくことなく飛び出して行ってしまった。


黒い髪の毛をさらさらなびかせながら。



与那星島の眩しい日差しを受けて揺れる海斗の髪の毛が眩しくて、目を細める。


「もうっ……」


まだ教えて欲しい事もあったのにな。


「……あれ?」