恋蛍~クリアブルーの風に吹かれて~

きっと、あの子たちも海斗と同じ歳なんだと思う。


でも、その中でも海斗はひとり飛び抜けて大人っぽかった。


「陽妃ー」


「……海斗?」


ひょい、と顔を出すと、海斗がぱあっと笑顔になった。


「おったんかね。ハイサイ!」


海斗が右手を上げた。


ハイサイ、ってもしかして、こんにちはとかそういうたぐいなのかな。


「は……はいさい?」


真似をして「やあ」と右手を上げると、海斗はキラキラ目を輝かせた。


「陽妃い、ちょっちゅ、出て来いー」


海斗が手招きをする。


「え、ああ……うん」


海斗の背後の野次馬隊を気にしつつ、おずおずと出て行く。


「わあっ、ちゅらさんだがね!」


「本当だねー」


野次馬隊がヒソヒソ陰で話す中、海斗はぺこりと頭を下げて「ごめん」と謝ってきた。


「何で? 何で海斗が謝るの?」


「昨日、陽妃のことを、びっくりさせてしまったからさあ……」


海斗が悲しい顔をして、シュンと肩をすくめた。


「まっさかあ、ひっくり返ると思ってなかったしよお」


海斗はなんて素直な子なんだろうと思った。


「本当に悪かったと思ってさあ」


一言一言、何かを口にするたびに、ころころコロコロ表情が変わる。


きっと、海斗は何にも逆らわずに、真っ直ぐ伸び伸び生きて来たんだろうなあ。


「陽妃がもう嫌だって言うならさ、テビチもミミガーも無理やり食べさせたりしないからさあ……だから……怒らないで欲しい」